輸入車には2つの種類が有る事を知っていましたか?「並行輸入車」と「正規輸入車」です。これらの名称は法的な物ではなく、一般的な俗称としてこう呼ばれています。
この2つの輸入車の違いは、簡単に言うと輸入経路です。どのようなルートで日本国内に輸入されてきたのかで分けられます。
で、並行輸入車を購入する場合は注意して欲しい点がいくつか有りますので、並行輸入車のデメリットや正規輸入車との見分け方などを紹介していきます。
並行輸入車とは
並行輸入車とは、外車メーカーなどと販売契約を結んでいない輸入業者などが直接現地ディーラーから車を買い付けて、日本に輸入した車を指します。
購入パターンは、①店頭で販売されている並行輸入車を購入するか、②輸入業者に注文して輸入してもらい購入する、この2つです。
中古の輸入車を購入する場合は、上記の2つに加えて、中古車市場に流通している並行輸入車を購入する方法も有ります。
並行輸入車を購入するメリットは、概ね以下の2つです。
- 正規輸入車ディーラーでは販売されていない車種やグレードを購入する事が出来る
- 為替が円高の時に注文すれば、安く購入する事が出来る
1つ目のメリットを享受するために並行輸入車を購入する、というのがオススメです。
なお、ただ単に安く購入したいという理由だけで、正規ディーラーでも販売されている外車を敢えて並行輸入車として購入するのはあまりオススメ出来ません。なぜなら、並行輸入車には次セクションで記載しているようなデメリットがいくつか有るからです。
並行輸入車のデメリット
予備検査(車検)等の諸費用によっては正規輸入車よりも高くなる
並行輸入車を輸入してから納車するまでに発生する諸費用は、主に以下のようなものです。
- 現地からの輸出手続費用
- 輸送費用
- 通関費用
- 予備検査(車検)費用
- 消費税
- 輸入業者の代行手数料 等
車両本体価格とは別にこのような諸費用が発生します。その額を大雑把に計算すると「100万円~200万円」にもなります(輸入業者や輸送距離などによって異なります)。
また、並行輸入車は日本の保安基準に適合した状態ではなく、海外仕様のまま輸入されます。何も改善措置を取らなければ、基本的に日本の保安基準に適合しません。
そのため、予備検査(車検)前に日本の保安基準に適合しないパーツなどを業者が加工して改善する事になります。当然、この費用も車両本体価格に上乗せされます。
このような諸々の費用が発生するので、思っていたより安くならないばかりか、正規輸入車よりも高くなる場合も有ります。
基本的に型式不明車となり買取価格はかなり安くなる
国土交通省に型式の認可を受けていない並行輸入車は、車検証の型式欄には「型式不明」又は「‐英数字‐(ハイフンで挟まれている)」と記載されます。
並行輸入車の型式が「‐英数字‐(ハイフンで挟まれている)」とされるのは、正規輸入車として型式認定を受けている車と「同一」又は「類似」として申請し区分された場合です。
ただし、この型式で登録されたとしても、後述する買取価格や任意保険、修理・メンテナンス等で不利になる事に変わり有りません。
並行輸入車の届出や審査に関する詳しい内容は、国土交通省の資料をご覧下さい。
型式不明とされる並行輸入車は、車を手放す時の買取価格が安くなります。並行輸入車は基本的に人気が無く、車検証に型式不明と記載されているだけで、ほとんどの人が敬遠してしまうからです。
さらに、並行輸入車の一部の車両は、車台番号を職権打刻され、買取価格が大幅にダウンします。
このように並行輸入車のリセールバリューが低くなる事は、予め覚悟しておいた方が良いでしょう。
車両保険の加入を断られる事も
並行輸入車は、ほとんどのダイレクト型の任意保険には加入出来ません。例えば、イーデザイン損保では、以下の画像のように保険の引き受けを断られてしまいます。
型式が「‐英数字‐(ハイフンで挟む)」とされる並行輸入車もダイレクト型の任意保険に引き受けを断られます。
一方、代理店型の任意保険には加入出来ますが、車両保険に関しては断られる事も有ります。型式不明という事も有り、車両の価値がいくらなのか、修理にいくらかかるのか、が保険会社も分からないためです。
車両保険にも加入したいのであれば、保険代理店と交渉してくれる輸入販売業者から並行輸入車を購入した方が良いでしょう。事前の確認が必要ですね。
保険料が高くなるかもしれませんので、加入の可否だけでなく、保険料についても確認しておきましょう。
修理・メンテナンスは難題が多い
まず、修理・メンテナンスをしてくれる整備工場などが圧倒的に少ないです。正規ディーラーに持ち込んでも断られる可能性が高いです。そのため、購入する前に並行輸入車でも修理・メンテナンスを受け付けてくれる整備工場などを探しておいた方がよいでしょう。
修理・メンテナンスまで請け負ってくれる輸入販売業者に依頼するのが一番良いかもしれませんね。
また、修理・メンテナンスにかかる費用が高くなる事が多いです。日本国内に流通していない専用の部品の場合は、海外から取り寄せなければならないので、必然的に高くなります(取り寄せるまでに時間も掛かります)。また、特別な作業や工具を利用する場合が多く、工賃も高くなります。
エコカー減税の適用対象外
国土交通省のサイトには「並行輸入車はエコカー減税の対象外」と明記されていないのですが、エコカー減税の対象となる基準の内容を見ると、並行輸入車はエコカー減税の対象外となります。
エコカー減税の対象となるには「平成17年の排出ガス基準」に適合している必要が有ります。この排出ガス基準は、以下のようになっています。
平成15年10月以降に新たに型式認定を受けたクルマで、「平成17年排出ガス基準」に対し、~以下、略~
(出典:ホンダ)
上記のように「型式認定を受けた車」が前提条件となります。そのため、型式認定を受けていない並行輸入車は前提条件を満たしていないので、排出ガスが基準値に適合していたとしても、エコカー減税を受ける事は出来ません。
正規輸入車との違い
正規輸入車とは、外車メーカーなどと販売契約を結んだ販売業者(正規ディーラー)が、日本に輸入して販売している車を指します。
並行輸入車との違いを以下の表にまとめたので、参考にして下さい。
項目 | 並行輸入車 | 正規輸入車 |
---|---|---|
価格 | 安い | 高い |
型式 | 型式不明となる場合が多い | 認定された型式となる |
リセールバリュー | 低い | 高い(車種等条件次第) |
加入出来る任意保険 | 少ない | 多い |
修理・メンテナンス | 手間・費用がかかる | ディーラーでアフターフォローを受けられる |
エコカー減税 | 対象外 | 対象 |
並行輸入車の見分け方
中古の外車を購入する時、「並行輸入車を購入したくない」という人もいるでしょう。
そこで、並行輸入車の見分け方のポイントを紹介します。
■並行輸入車の見分け方
- 車検証の型式欄が「不明」又は「‐英数字‐(ハイフンで挟まれている)」
- 外国語の取扱説明書
- 走行距離メーターがマイル表示(アメ車の場合が多い) 等
正規輸入車でも日本で販売されている台数が少なければ、型式が「不明」となっている場合も有ります。
輸入中古車を購入する時は、上記のような点をチェックして「並行輸入車」か「正規輸入車」かを見分けるようにして下さいね。