「T型フォード」は、世界初の量産型自動車です。T型フォードが生産されたのは約100年前で、当時の自動車と言えば、非常に高価な乗り物でした。
しかし、ヘンリー・フォードは生産方式を工夫して、庶民でも購入出来るまで価格を下げる事に成功します。すると、生産開始から約20年間でT型フォードの累計販売台数は、約1,500万台を超え驚異的なヒット商品となりました。
ヘンリー・フォードは、20世紀の製造業を語る上では欠かせない人物となったのです。
フォード生産方式とは
フォードの生産方式は、その後のアメリカ製造業の「大量生産」の基礎となります。このフォード生産方式の主な構成要素は次の3つです。
- 移動組立方式を用いた分業化
- 部品の互換性の確保
- 成形部品の高速製造
移動組立方式を用いた作業の分業化
フォードの生産方式で、注目すべきは「移動組立方式を用いた作業の分業化」です。その他の「部品の互換性」や「成形部品の高速製造」は昔から行われていました。
移動組立方式とは、自動車をベルト・コンベアで移動させて、労働者は流れてきた自動車に部品を取り付けて組み立てる方式を言います。さらに、フォードは労働者の担当する作業を細分化し、単純作業にして、熟練工ではなく誰でも作業を行えるようにしました。
例えば、「ネジを締めるだけの作業」や「ドアを取り付けるだけ作業」などのようにです。
これにより、賃金の安い労働者をたくさん雇う事に成功し、生産速度を飛躍的に延ばしたのです。この組立方式により当時1,000ドルした自動車は300ドルまで価格を下げる事に成功しました。
ただ、あまりにも単純な作業なので、労働意欲が低下し、離職率は約400%とかなり高かったようですね。
部品の互換性の確保
部品の互換性とは、同一用途の部品の形状や大きさなどが統一されていて、交換が可能な事を言います。
組立をスムーズにするためには、部品の互換性が非常に大切です。なぜなら、ベルト・コンベアで流れてくる本体に対して、労働者が担当する部品を時間内に取り付けなくてはいけないからです。つまり、部品に互換性があれば、作業者は単純に作業をこなすだけで済みます。
しかし、互換性が無ければ、つまり、部品の大きさや形が微妙に違っていたら、取り付け作業以外に部品の修正作業が必要になります。こうなると、労働者の作業時間が増えるとともに、ベルト・コンベアの流れも止めてしまう事になります。これでは、1つの自動車を組み立てるのに、かなりの時間を要する事になってしまいます。
成形部品の高速製造
成形部品とは、ドアや屋根などそれぞれの各部品の事を言います。
こういった部品の高速製造は、組み立てラインの作業をスムーズ化する為に重要です。
というのも、組み立てラインでは、部品を取り付ける順番が決められています。もし、部品が不足すれば、それ以降の作業を停めてしまう事になります。
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